今回は人類も同じ運命を辿るのではと言われている面白い実験「Universe25(ユニバース25)」をご紹介します。
こちらの実験は1960年代初頭に行われたマウス実験です。
まるで人類の結末を見ているようと囁かれており、かなり興味深い結果となっています。
今回は簡単に詳細をまとめましたのでご紹介いたします。
Universe25はどんな実験?
掲載元:https://en.wikipedia.org/wiki/John_B._Calhoun
1960年代初頭にアメリカの動物行動学者ジョン・B・カルホーンは実験「Universe25」というマウス実験を行いました。
実験内容は「脅威を全て排除した生存に最適な環境(楽園)にマウスを住ませるとどのような社会が成形されるのかを観察する」といった内容です。
以下は居住空間のスケッチになります
4つのセクションに分かれており横幅2.7m×高さ1.4mとかなり広い空間です。
また256の居住エリアがあり最大3,840匹のマウスが収容可能となっています。
- 広大な住処 (3,840匹のマウスを収容可能)
- 適切な気温・湿度が保たれてる
- 無限の食料・飲料の提供
- 定期的な清掃作業
- 捕食者の排除
通常自然界では「捕食者・災害・病気・悪天候・食糧不足」など生存を脅かす脅威が多数あります。
この脅威を全て排除するとどうなるのか?といった興味深い内容です。
それでは実験の経過観察をご紹介します。
実験の経過観察
実験はオス・メスの4組の計8匹からスタートしました。
フェーズ1:適応期 (0 – 104日)
実験開始から最初の子供が生まれるまでの期間。
フェーズ2:社会形成期 (105 – 315日)
早くも「社会」という言葉が登場します。
個体数が急激に増加をし、適応期から55日ごとに個体数は倍増し続けました。
その結果、最初は8匹だったマウスが315日後には620匹まで増加した。
この頃から「群れ」を持つ個体が出始め、社会形成の兆候が見られ始める。
群れが大きくなるにつれて「格差」が生まれ始める。
- 群れが大きくなる
- 個体数増加につれ居住スペースが過密になる
- 「群れ内の権力争い」や「縄張り争い」が起きる
- どんどん格差が広くなる
雄マウスの格差社会は5つの階層に分かれています。
- ボスマウス
群れのボス。日好戦的で守りに徹している保守的。 - ノーマルマウス
一般的なマウス。好戦的で地位が不安定。 - 愛に飢えたマウス
オス/メス/子供だろうと求愛行動をする浮気者タイプ。穏やかな性格で攻撃されても戦わない。 - ストーカーマウス
愛に飢えたマウスよりしつこく追い回す。 - 引きこもりマウス
巣から出てこず他のネズミが寝る時間に飲食を行う。メスに関心を示さず食べることと寝ることしか考えてない。
ここで興味深いのが弱肉強食の世界で「愛に飢えたマウス」「ストーカーマウス」「引きこもりマウス」は楽園特有の階層と言っても過言ではありません。
どう考えても異常です。
本来の自然界であれば「愛に飢えたマウス」「ストーカーマウス」「引きこもりマウス」はマウス社会不適合となり別の居住区に移るしかありません。そこで適応できなければ生存はできません。
ただ今回は居住区を移ることが出来ない為「ボスマウス」「ノーマルマウス」は個室を占領し、その他のマウスは広場に密集(ホームレスのような状態)という完全な格差社会になってしまいました。
メスの場合は2パターン「ボスマウスのグループ」「広場のグループ」に分類されます。
そのためフェーズ2で「オス/メスで完全な格差社会」が形成されました。
フェーズ3:停滞期 (315 – 559日)
フェーズ2では55日ごとに個体数が2倍ペースなのに対し、フェーズ3では145日で2倍ペースと出生数が大幅に減少。
この原因となったのが子供の生存率
ボスマウス・ノーマルマウス
死亡率:50%
愛に飢えたマウス・ストーカーマウス
死亡率:90%
死亡率90%の原因として「愛に飢えたマウス」「ストーカーマウス」が非好戦的なことがあります。
子供が襲われていても助けないわけです。
すると徐々に母マウスが代わりに戦い始め、徐々に好戦的になりメス → オス化も進みました。
ただこのころから母マウスは子供にも危害を加えるようになりました。(ネグレクト)
そうすると子マウスは「引きこもりマウス」か「他のマウスに捕食される」という状態になります。
560日目についに個体増加が停止しました。
この時の個体数は最大の2,200匹です。
フェーズ4:終末期 (560日~)
ついに死亡率が出生率を上回り、個体数の減少し始めました。
920日目には最後の妊娠が確認されたが、生まれず。
1440日目の生存者は「オス22匹・メス100匹の計122匹」でした。
ここで気になる疑問。
自然界なら個体数が減ると食料が確保しやすくなるため個体数がV字回復する場合があります。
実際今回、生き残ったオスはがメスに興味を示さない「引きこもりマウス」でした。
そのため生殖能力がないといった状態です。
そして1780日目には最後のオスが亡くなり全滅。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました!
食べ物も無限が絶滅は正直驚きを隠せませんでした。
今回の詳細をザックリまとめると以下の通りです。
- 104日:初の子供が誕生
- 315日:社会形成と格差が生まれる
- 560日:個体数が最大の2,200匹になる
- 920日:最後の妊娠が確認される
- 1780日:絶滅
人間社会でも似たようなことは起きていると考えると中々現実味が合って考えさせられます。
以上、ありがとうございました!